「極真の組手で勝ちたい。でも、試合で何を意識すればいいのか分からない」
私は極真空手を約15年続け、所属していた国際空手道連盟 極真会館の全日本ウェイト制空手道選手権大会に2回、全日本空手道選手権大会(無差別)に1回出場しました。
この記事では、私が試合で実際に意識していたこと、つまり1試合の組み立て、得意技、距離、下段の受け方、体の大きい相手との戦い方、試合前の練習を書きます。どれも私の場合の戦い方で、体格や得意技が違えば正解も変わります。ひとつの例として読んでください。
※画像はAI生成のイメージイラストです。実際の人物・大会の写真ではありません。
先に結論
- 私は、序盤は相手をよく見て急所にダメージを貯め、中盤から手数を増やし、終盤は効いているところにラッシュする組み立てでした。
- 下段は、強い蹴りなら足を上げてカットし、棒立ちで受けないこと。大きい相手には、まともにもらわず、足とスピードで勝負していました。
- 知識だけでは勝てません。自分のしたいことを試合でするには、それだけの地力と、日頃の練習から来る自信が必要です。
まず、極真のルールで勝ちがどう決まるかを知る
作戦を考える前に、勝ち方の仕組みを押さえておきます。以下は、極真会館が公開しているI.K.O.極真ルール(2023年11月現在の規則として掲載。2026年9月27日に確認)の要点です。
- 勝ち方:一本勝ち、技有り2本による合わせ一本勝ち、判定勝ち、相手の反則負け・失格・棄権
- 判定の基準:①相手へのダメージ、②有効な技を当てたか・防御技術を使って自分の攻撃に結びつけたか、③正確な技で積極的に攻めて主導権を握っていたか、の順に見る
- 主な反則:手や肘による顔面への攻撃、金的への攻撃、頭突き、掴み・抱え込み・投げ、連続した押し、など
- 試合時間:本戦3分(予選は2分)、延長2分
判定では、手数や積極性より先にダメージが見られます。私が「効かす、倒す」を意識していたのも、この順番と合っていました。大会によって試合時間などが違う場合もあるので、出場する大会の要項も必ず確認してください(出典:極真会館「I.K.O.極真ルール」)。団体ごとのルールの違いは極真空手の団体の違いにまとめています。
1試合の組み立て:序盤・中盤・終盤

序盤:相手をよく見て、コツコツダメージを貯める
序盤は、自分から無理に仕掛けるより、相手に合わせて技を返していました。相手をよく見て、急所を狙ってコツコツとダメージを貯めていくイメージです。
ここでいう急所は、出場する大会のルールで攻撃が認められている部位の範囲です。金的などの反則箇所を狙う意味ではありません。
中盤:少しずつ手数を増やす
中盤からは、徐々に手数を増やしていきます。相手の顔面が空いてきたら、上段の蹴りも狙っていきます。
終盤:効いているところにラッシュ
終盤は、それまでに効いているところを意識してラッシュをかけます。最初から最後まで全力で打ち続けるとスタミナが持たないので、スタミナを考えながら、終盤に向けて手数を増やしていく配分でした。
パンチの打ち方にも同じ考えがあります。序盤はキレで当て、チャンスで強いパンチを入れる使い分けはパンチ力を上げる筋トレに書いています。
私の得意技:ボディへのパンチと、左の中段回し蹴り

試合で勝ちにつながったのは、ボディへのパンチと、左の中段回し蹴り(ミドルキック)でした。
極真のルールでは顔面を手で打てないので、突きはお腹や胸への攻撃が中心になります。ボディへの突きでダメージを貯めていくのが、私の組み立ての土台でした。蹴りの威力を上げるための下半身の補強は蹴りの威力を上げる下半身トレーニングにまとめています。
距離:自分の得意な距離に持っていく
距離は、とにかく自分の得意な距離に持っていくことを考えていました。
相手が密着してきたときは、膝蹴りをよく使っていました。

ただし、I.K.O.極真ルールでは、掴み・抱え込みだけでなく、腕や胸を合わせて密着すること、相手の首から上や胴体への手掛け、抑えなども反則です。掴まなければ何でもよいわけではありません。出場する大会のルールを確認し、その範囲で膝蹴りを使ってください。
判定で勝つために意識していたこと
判定までもつれそうなときに意識していたのは、次の3つです。
- 手数を出す
- 前に出る
- 最後の数十秒で攻める
ただ、上に書いたとおり、判定の基準ではダメージが一番先に見られます。手数や前に出ることは大切ですが、当てているだけで効いていない攻撃ばかりにならないよう、「効かす」意識とセットで考えていました。
下段回し蹴りの受け方:棒立ちはダメ

以下は、私が経験を積んだうえで試合中にしていた判断です。組手を始めたばかりなら、最初から蹴りを受けて返すことを狙わず、まずは低い強度でカットや距離を外す動きを練習してください。
- 強い蹴り:足を上げてカットする
- 効かないと思った蹴り:受けながら、パンチなどでカウンターを入れていく
- カットが間に合わないとき:当たる位置をずらす
一番いけないのは、棒立ちで受けることです。また、効かないと思って受けていても、下段のダメージは少しずつ溜まっていきます。その点は注意しながら受けていました。すねを強くするためにやっていたことはすねの鍛え方にまとめています。
なお、I.K.O.極真ルールの判定基準には、ダメージがなくても、相手の技に反応せず不用意に受けるのは判定のマイナス要因になる、と書かれています。
受け方の基本や、打たれ強さについては打たれ強さは鍛えられる?体幹トレと受け方にも書いています。
体の大きい相手との戦い方
無差別の大会では、自分より大きい相手とも当たります。私が意識していたのは次のことです。
- 手数を意識する
- 相手の攻撃をまともにもらわない
- 足を使いながら、スピードで勝負する
- 上段を狙っていく
ただし、上段は簡単には入りません。先にお腹への攻撃を意識させたり、下段を意識させたりしてから狙います。そのためには、相手に「意識させる」だけの攻撃力が必要です。効かない攻撃では、相手はガードを下げてくれません。
試合前の練習:特にスタミナ
試合前は、ミット、スパーリング、試合形式の練習、走り込み、筋トレをやっていました。中でも特に大事にしていたのが、スタミナの練習です。
ただし、稽古では相手と強度を合わせて、技術と体力を積み上げます。痛みや不調を我慢して打撃を受け続けることを、打たれ強さの練習にはしないでください。

トーナメントでは、1日に何回も試合をします。勝ち上がるほど疲れとダメージが溜まった状態で次の試合に出ることになるので、打たれ強さとスタミナは欠かせませんでした。スタミナのつけ方は格闘技のスタミナの付け方、ミットの使い方はサンドバッグとミット打ちの使い方に書いています。
上段への攻撃は、特に注意する
私が試合で特に注意していたのは、上段への攻撃です。一発もらえば、それで試合が終わるかもしれません。
頭への打撃のあとに、頭痛、めまい、ぼんやりする感じなどがあるときは、試合や稽古を続けず、指導者や大会の医療スタッフに伝えてください。組手の安全の考え方は組手・スパーリングの心得と安全にまとめています。
組手を始めたばかりの人へ
始めたばかりなら、まずは続けることが大事です。そのうえで、攻撃の受け方と当て方を身につけてください。
ミットや約束稽古で、動きは分かっていると思います。でも、実際に相手と戦うとなると、相手も動くのでうまくいきません。それは当たり前のことです。やれば、強くなっていきます。だからこそ、継続してほしいと思います。
組手で緊張してしまう人は組手で緊張して動けない原因と対処法も読んでみてください。
最後に:知識だけでは勝てない

ここまでいろいろ書きましたが、相手も同じようなことを考え、たくさんトレーニングをして試合に挑んできます。
だから、試合で自分のしたいことをするには、それだけの地力が必要です。知識だけあっても勝てません。日頃のトレーニングや、「相手よりも練習してきた」という自信、そして気持ちの強さが重要になってきます。
まとめ
- I.K.O.極真ルールの判定は、ダメージ、有効打と防御技術、積極性の順に見られる。私は「効かす、倒す」を軸にしていた
- 組み立ては、序盤に急所へダメージを貯め、中盤で手数を増やし、終盤は効いているところへラッシュ。得意技はボディへのパンチと左の中段回し蹴りだった
- 近い距離では、反則になる掴みや密着を避けて膝蹴り。下段は棒立ちで受けずにカットかずらす。大きい相手には、まともにもらわずスピードで勝負し、上段は意識をそらしてから
- 1日に何試合もするので、スタミナと打たれ強さの練習が欠かせない
- 最後は地力と、日頃の練習から来る自信と気持ちの強さ


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